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呼吸器外科の最近の治療

 

  

   呼吸器外科の最近の治療

 

 

                

                 統括診療部長 岩代 望

 

 

 当科では、肺癌、転移性肺腫瘍、良性肺腫瘍、自然気胸、縦隔腫瘍、胸腺腫、重症筋無力症、膿胸、胸壁腫瘍など多くの呼吸器外科疾患を取り扱っています。どの疾患でも最近は胸腔鏡を使用した低侵襲手術が中心になっていますが、代表的な疾患である、肺癌と自然気胸をご紹介します。

 

肺癌に対する完全鏡視下肺葉切除術

 肺癌は年々増加し、わが国で最も多い死因となっています。当でも手術も年々増加していて、高齢者の方も手術を受けています。平成18年には90件の呼吸器外科手術のうて57件が肺癌手術でした(表1,表2)。肺癌に対する治療は手術が第一選択ですが、当科では呼吸器内科と毎週カンファレンスを行い、手術適応を検討しています。                                     肺癌に対する標準手術は肺葉切除+縦隔リンパ節郭清ですが、I期肺癌では胸腔鏡下にこの標準手術を行っています(表3)。II期以上の肺癌に対しても胸腔鏡を用意して手術に臨み、可能であれば最後まで胸腔鏡で手術を行います。従来の後側方切開による肺癌手術では20cmほどの傷が必要で、筋肉を大きく切離し、さらに助間を開胸器で開大するために術後創痛の長期持続がしばしばありました。胸腔鏡下肺葉切除術では、小切開4cm+2ヶ所の操作孔から完全モニター視で行います。傷は柔らかい被覆材料で保護されて筋肉の切離も最小で肋間神経への圧迫も少ないため、傷の痛みの改善は早いです。最近では口径10mmの胸腔鏡に替えてより細い5mmの胸腔鏡を用い、さらに肋間神経保護を考えています。胸腔鏡の使用は肺癌にとどまらず大部分の呼吸器外科手術に利用していて、低侵手術を心がけています。

          

           表1

     

                          

            表2 

     

    表3 

     

     

自然気胸手術

 自然気胸も手術適応のある疾患ですが、良性疾患でもしばしば再発が問題となります。再発は病変部の見落としや、治療した病変部近傍の再発といわれています。胸腔内陽圧換気という方法を行って肺表面の病変を容易に観察できるようにして見落としによる再発を防いだり、病変切除部近傍の再発防止として、肺切除部に吸収性フェルト+フィブリン糊貼付などを行ったりしています。また最近の手術では術後のドレーンを柔らかな材質に変更することによりドレーン挿入部の痛みを軽減し、ドレーン抜去後の傷の縫合をやめて、抜去不要による工夫もしています。