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乳がんのセンチネルリンパ節生検について

 

  

  乳がんのセンチネルリンパ節生検について

 

 

                

                      外科医長 小室 一輝

 

 

 最近、乳がんの手術においてリンパ節の郭清を行うことがはたして治療成績の向上に寄与しているか疑間視されるような報告が多く見られるようになりました。これらの報告は乳がんの手術において必須の操作とされている腋嵩リンパ節郭清の意義を見直し、郭清手術の施行を改めて検討する必要性があることを示唆しています。つまり乳がんの手術においてセンチネルリンパ節(SLN)を同定し、転移がなければ無意味な腋嵩リンパ節郭清を省略できるという考え方です。なぜなら腋嵩リンパ節郭清に伴う合併症が一番術後QOLを左右するからです。腋嵩リンパ節郭清に伴う合併症として上肢のむくみ、リンパ液の貯留、運動障害、知覚異常や疼痛を特徴とする神経障害などがあります。腋嵩リンパ節郭清を省略できることによりこれらの合併症を防ぐことが出来ます。SLN生検の最大の目的は、従来では乳がん手術において全員にしていた腋嵩リンパ節郭清を省略できる患者さんを見分けることにより、不必要な腋嵩リンパ節郭清による合併症を減らすことです。
SLNの同定法には、色素を注入し青く染まつたリンパ節を同定する色素法と、アイソトープ粒子を注入し、ガンマプローブを用いて放射能の高いリンパ節を同定するガンマプローブ法があります。また、色素法とガンマプローブ法を併用するtwo―maping法が行われ有用性が高いと考えられています。しかし、ガンマプローブ法はアイソトープの使用が認可された施設に限られ、色素法のみが行われることが多いようです。
最近、水溶性造影剤を注入しCTを用いてSLNに至るリンパ管やSLNを造影する3D-CTリンフォグラフィ(3D‐CTLG)が開発されました。
 3D‐CTLGと色素法を併用する新しいtwo- mapping法がSLN生検に試みられ、良好な成績が報告されるようになりました。


 当院では2005年1月よりこの新しいtwo- mapping法を用いてSLN生検を導入し、2006年は31例の乳房温存手術の内28例にSLN生検を施行し20例で腋嵩リンパ節郭清を省略することが出来ました。
乳房温存術が標準術式なったように、SLN生検は乳がんの標準術式の一つになりつつあり、SLN生検の普及が期待されます。
 乳癌、乳癌が疑われる方がいましたらご紹介をお願いします。