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独立行政法人国立病院機構 函館病院

外科からのお知らせ

大腸がんに対する腹腔鏡下手術

2018.10.11

腹腔鏡下手術とはおなかに数カ所小さな穴を開け,そこから「腹腔鏡」というカメラや電気メスなどの手術器具を入れて,モニター画像を見ながら行う手術のことです.従来の「おなかを切る手術」は開腹手術と呼びますが,腹腔鏡下手術は開腹手術と比べて非常に小さな創で済むために患者さんの術後の痛みが少なく,回復が早いことが一番の長所です.
大腸がんの外科的切除は,原則として原発巣(大腸がん)のみならず,転移をきたしやすいリンパ節も一塊として切除します.開腹手術,腹腔鏡下手術どちらのアプローチでも,がん病巣やリンパ節を切除する手術の内容自体は同じです.
大腸がんに対する腹腔鏡下手術は2002年に保険の適応が認められて以降,その数は全国的に年々増加しています.当初は早期大腸がんのみを適応としていましたが,近年では進行大腸がんに対しても広く腹腔鏡下手術が行われるようになってきました.
当院でもがんの根治性(治すこと),安全性,低侵襲性(体への負担が少ないこと)を最優先に考え,大腸がんに対する標準手術のひとつとして腹腔鏡下手術を積極的に行っています.2017年には当院で年間70例以上の大腸がん手術を行い,そのうちの約9割は腹腔鏡下手術で行いました.
もちろん,すべての手術を腹腔鏡下手術で対応することは困難です.複数回の開腹歴があり高度なゆ着が予想される場合,他臓器への明らかな浸潤を認める場合,がん病巣が巨大な場合などは,始めから開腹手術を選択することもあります.
当院では術前に現在の状況や治療方法の選択肢などを充分に説明させていただき,患者さんにご納得いただいた上で治療法を決定するよう心掛けています.