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独立行政法人国立病院機構 函館病院

循環器科からのお知らせ

心房細動の治療について-心房細動アブレーション治療-

2012.12.28

 心房細動は加齢とともに増加し、70歳以上では10-20人に1人が心房細動といわれています。心房細動では脈拍のペースがバラバラになるため、動悸感や胸の違和感・圧迫感の原因となります。さらに長期間続くと心不全になってしまうこともあります。もう一つの大きな合併症は塞栓症です。心房内に血液の「よどみ」が出来るため、血栓ができやすくなり、脳梗塞の原因となります。

心房細動の治療法

薬物療法

  • 抗凝固療法:ワーファリンに代表される血栓予防薬で、血液をサラサラにすることにより、血栓が出来にくくする治療。
  • リズムコントロール(抗不整脈薬):薬物により正常な心拍(洞調律)を維持しようとする治療。
  • レートコントロール(心拍調節):心房細動自体を止める効果はないものの、薬物により心拍数が速くなり過ぎないように調節する治療。

非薬物療法

  • 電気的除細動:電気ショックにより、心房細動を停止させる方法。一時的に停止するが、再発することが多い。
  • 外科手術(メイズ手術):手術で心房細動を治療する方法。通常は他の心臓手術と同時に行います。
  • カテーテルアブレーション治療:カテーテルと呼ばれる細い管を心臓内に挿入し、不整脈の原因となる部位に高周波通電を行う治療。

カテーテルアブレーション治療について

 これまで心房細動に対しての多くの大規模臨床試験が行われました。正常な心拍(洞調率)を維持するリズムコントロール治療の方がレートコントロール治療よりも予後が良いと思われていましたが、いずれの治療でも生命予後(死亡率、脳梗塞など)に差はありませんでした。全体的にみると、副作用のために抗不整脈薬の有用性が相殺された可能性が考えられています。

 心房細動アブレーションはカテーテルを用いて、心房細動の引き金となる肺静脈を電気的に隔離する治療です。アブレーション治療は正常な心拍(洞調率)の維持効果が、抗不整脈薬より優れており、長期的予後はいまだ不明ですが、一部では生命予後を改善することが報告されています。アブレーション治療は、まれに合併症が起こることもありますので、患者さんの年齢や基礎疾患などを考慮し、心房細動に対する最適な治療法を選択します。